2011-12-25
ブラボー!!これぞNHKの本気か。
終わりましたな。『坂の上の雲』。
素晴らしかったです。
個人的に思い入れが強いシーンは、戦後に児玉は身綺麗にして「どう変わるのか」と問い、一方乃木は汚いかっこのまま「何も変わらん」と分かれたところでしょうか。軍人というより植民地統治者として優秀だった児玉と、軍才の有無については未だ議論が分かれていますが骨の髄まで一軍人であった乃木の違いが良く出ていたと思います。維新以前の精神性にこだわった乃木が「変わらん」としたのは、形而上的なものについてなのかな、と思いました。
んで。
こうしたドラマに対する感想はもっと素晴らしいブログがござっしゃると思うので、ここでは作中何度も言及されていた「この後どうなるのか」について、主に中国側の視点から簡単にまとめてみたいと思います。
その後、日本、特に陸軍は満洲に固執する。多くの犠牲を払った代償である、という感傷もあったのだろうが、袁世凱や張作霖の軍事顧問となった人物(特に袁世凱顧問の坂西利八郎)が、満洲を北方に対する防衛線兼食料供給基地としたことが大きかったであろう。ちなみに海軍や外務省が希望していたのはどっちかと言うと来たではなく南であり、台湾を拠点とした南進論であった。
日露戦争によって満洲からロシアの権益を駆逐した日本であったが、続いて参入してきたアメリカ資本とケンカすることになった。ポーツマスで恩を受け、また当時大国化しつつあったアメリカと本気でケンカするか否か。外務省はさんざん迷ったことだろう。
一方清朝は、これを利用し、競合させながら鉄道等のインフラを整備したようだ。清朝が経済侵略の一方的な被害者であった、と言うのは一面的な理解である。
あくまで清朝にのみ視点を据えるのであれば、日露戦争は、満洲権益の大部分を占有していたロシアを日本が叩いてくれたおかげで、アメリカと日本の「自由競争」による投資を期待出来るようになった事件、と言えよう。てめえんとこで他人がケンカしていたわけだが、全く損をした訳でもないと思う。
また、日露戦争は日本軍に協力した張作霖に勢力拡大のチャンスを与えた。辛亥革命後、日本は張作霖を通じて満洲権益の維持・拡大を図ったが、やっこさんが暴走して蒋介石とドンパチせんとしたため、結局傀儡政権の樹立を模索するようになってゆく。
そんなわけで、日露戦争はその後の近代日本史のキーである満洲権益に対する陸軍の固執を決定づける事件だったのであり、「この後どうなるのか」という質問には、満洲は日本にとって忘れられない土地になりましたよ、と答えられるのではなかろうか。
しばしば歴史認識問題では20世紀半ばあたりからが話題となるが、その根っこを知るには近代史全体を知ることが大事であり、『坂の上の雲』は国民国家の性質や近代化の重要性を知る上でも、極めて有意な教科書ではないか、と思うのである。
それにしても、『坂の上の雲』感想のおかげで「アイマス」キャラと19世紀末~20世紀初頭の東アジアのイメージが固まってしまったようなw
楽しいので良し。
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