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2010-02-21

どストライク過ぎて逆に書くことに困るの巻。

04_ストライキ31


 今週の『蒼穹の昴』はどストライク過ぎて、史実厨としては逆にこれまで拙ブログで書いてきたことの反復ぐらいしかつっこむところが無くて困るの巻。
 それでもやるあたりがわしのクオリティ。
 さて。
 今週最大のポイントは清朝の近代化とそのための予算編成如何であろう。
 細かい話から片付けよう、と言うことで予算編成について。
 今回は北洋艦隊の軍備費を西太后が私費として着服した「伝説」が語られていた。
 仮に真実だとしても、これを一概に非難することは出来ない。
 いつぞや拙ブログで書いたように、西太后はじめ宮廷の膨大な内務費は、それが有効需要を生み出していただけでなく、内外に対して清朝の健在ぶりを証明するのに必要であった。
 当時の在北京外交官の多くが、この内務費の維持如何を清朝財政安否のメルクマールとしていたわけで、決して全てが無駄だったわけではないのじゃよ。よって作中の柴五郎が、こんな瓦に金をかけているようでは清朝も危うい、と断じたのは当時の感覚からすればそれこそ勇み足である。そんな風に北洋艦隊を評価していたのは陸軍の山県ら対中強硬派であり、ぶっちゃけ当時の認識としてはアホである。日清戦争で日本がバカ勝ちしたと言う説が流布しているが、それは清朝陸軍の強さや黄海開戦後の日本海軍の消耗状況(残存艦の数ではなく消費した燃料や弾薬数を国内の備蓄量と比較すると面白い筈だ)を知らない者の言なのじゃよ。眠れる獅子はやはり獅子なのだ。
 と、日清戦争が絡むとどうしても明治日本の「袁世凱と喧嘩しちゃったしロシアと満蒙権益について妥協するのにも失敗したから力づくで東北問題解決します」と言うジャイアンぶりが気に食わないわしは否定的な書き方となってしまう。んが、基本的に明治日本が奇跡的な速度と精度で成し遂げた近代化については心から高く評価していることを付記しておく。要は外交が下手だと思うのである。
 それはともかく。
 そもそもこの西太后が着服したと言う「伝説」自体疑わしい。北洋艦隊は李鴻章の管轄であり、李鴻章と西太后の関係は光緒帝との関係よりも良好であった。西太后が着服したとすれば、それは李鴻章も納得済みのことであろう。
 さて。
 北洋艦隊は洋務運動の結晶の一つである。
 洋務運動とは、「洋」の「務」、すなわち西洋のやってることを真似て近代化しよう、という政策であった。
 今回の話では、これは日本の近代化と似たものである、と西太后が認識していた。この認識が大きな誤りであることは、高校世界史Bを履修された方ならば御存じの通りである。
 洋務運動は軍備と産業、交通インフラの整備に力を注いだが、近代的なそれらを正常に稼働させるために必要な国民国家化や立憲政体の確立をないがしろにしたため、失敗した。
 作中で西太后がこのことに気付いていないのはリアルな表現で、清朝がそうした国体の変更が必要であることに気付くのは日清戦争後とされている。個人的にはこの辺の解釈はそろそろ改められる頃では、と思うのだが、これ以上は触れないでおく。
 ちなみに、清朝の近代化改革はこの後二つの山場を迎えるのだが、ドラマ初見の方にはネタバレとなってしまうので伏せておく。拙ブログではさんざん語ってしまった気もするがw
 さて。
 最後に細かい点だが、作中で海軍は国防の要だ、と言う発言があった。
 発言者が北洋海軍の人間なのでそのように考えるのだろうが、実際には清朝は陸軍が強かった。特に清仏戦争を見ていると良く解る。
 だからこそ弱点の海を守ろう、と考えるのは当然であるが、敵の上陸を許して沿岸部の都市が地獄絵図になるのを我慢すればむしろ勝てる・・・・・・と言うのはやっぱり間違ってますな。海防大事です。
 ああ、やっぱ面白いわ、清末。
 誰か「アイマス」で「架空戦記」やってくれ!!
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No title

国土の東側を欧米に蚕食されながら、国土の西側を広げていった(婉曲表現)と聞きます。>>清末

版図が大きくて人口が多いってのは得ですね(損な面も山ほどありますが)。

でかい、でかすぎる。

 本当は西側、即ちロシアとの関係や中央アジア諸部族との関係ももっと注目されて良い筈なのですが、言語の問題のためか、イマイチ主流になれていないようですね。
 あと、西側を研究するとチ○ットやウイ○ルと言った「キケン」な問題に立ち入る可能性があることも、その辺と関係有るのかも知れません。
 でかさはそれこそ「地大物博」でとてもメリットが大きいのですが、近代化に伴う国家統合の再編には余りにも、と言ったところでしょうか。
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