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2010-03-07

なんか外廷パートが少ない気がする。

05_間奏31


 ほいきた土曜日、即ち『蒼穹の昴』でしたよ。
 こないだ光緒帝が親政を始めたのだが、どうも外廷パートが少ない。
 いや、確かにこの時期だと、まだ西太后が実権を握っているのだが。
 史実厨的には外廷パートが出ないとさびしい、かと言うとそんなこと全くないのである。
 そんなわけで、今回も需要を無視してはりきって書きたいことを書く。
 先ずは贈収賄について。
 今回、春雲は教官から賄賂のおこぼれに与かった。
 これを春雲は「悪党」と茶化した。
 清朝が腐敗していたとする理由の一つとしてしばしば出て来るのが、贈収賄による官僚機構の腐敗である。
 不思議なもので、具体的な贈収賄の額や、贈収賄を行う際の不文律(例えば、何をする時にいくら払うのが相場か等。今日で言うところ結婚時の御祝儀額。暗黙の了解で決まっている。)がよく判っていないのに、本当によく主張される。
 この証拠不十分な、今風に言えば限りなくクロに近いグレーの批判について、清朝を擁護すべく、贈収賄が発生するメカニズムについて、既存の研究が明らかにしていることを述べておこう。
 結論から言うと、清朝の官僚は給料と予算が凄まじく少なかったのである。
 中国は広い。よって、地方で臨時・緊急の予算が必要になっても、それが中央に認められて財政出動されるまでに時間がかかる。だからこそ鉄道・電信の整備は急務だったし、清朝もガッシガシ取り組んだわけだ。
 鉄道と電信が無い以上、どうしても地方の実情と予算請求が中央に報告され、その真偽が判断されるまでにはじかんがかかる。とは言え、地方にその権限を委ねれば、それこそ不正徴収が横行する。これは戦国時代の日本を見ても解ることだろう。
 んが、どうしても地方で今すぐ予算が必要な時はある。この時どうしたかと言うと、先ずは地方官僚及び現地有力者のポケットマネーに委ねたのである。これはこれで凄い話だが、無論、その後中央が認めれば改めて地方へ予算が支出された。
 では、地方官僚のポケットマネーは十分だったか。ノーである。清朝の官僚は清貧を旨としたため、その給料は極めて少なかった。具体的には5人前後の家庭で365日なんとか食えるか食えないか、ぐらい。
 結果、地方官僚は地方有力者からの贈賄に期待し、また地方有力者もそれを見越して一般層から重く取り立てた。ただし、そこで得られた莫大な利益は災害や祭りの時などに大量に支払われた。だからこそ一般層も贈収賄や重税を受け容れた。ノービス・オブリージやモラル・エコノミーがこれに当たる。
 つまるところ、清朝は中央集権制を維持するために、結果として地方の非合法な収入に依存しなければいけない、という矛盾した財政構造を持っていたのである。これをアジアでは極めて早い中央集権制への積極的態度と見るか、だったら地方分権して「合衆国」になれば良いと見るかは、人によって異なるところだろう。ちなみに清朝はこのパラドクスを自覚しており、清末期には非合法収入を公定化する等、対策を打ち出している。
 尚、この贈収賄のシステムが結果として多くの官僚と地方有力者に財産をもたらしたことは事実である。
 以上は地方財政のケースだが、中央も同じようなもので、とにかく各官僚の給料と個別の予算が少なく、贈収賄がないとどうにもならなかったことは同様なのじゃよ。
 よって、清朝官僚機構の腐敗を批判するならば、「じゃあ電信も鉄道もなく、公的な第三者機関による監査システムが発明されていない時代に、中央集権制を維持するならばどうしろってんだ?」と言う質問に答える必要があるのだ。
 んで。
 次に紙幣について。
 春雲が貰った賄賂は紙幣であった。
 中国で使われるお金のイメージは、基本、北が紙幣で南が貨幣である。
 その理由について乱暴にまとめると、銅銭の鋳造・流通量が関係しているからなのじゃよ。
 経済活動が銅銭の物理的絶対量を超える額面で動く場合、銅銭を増やすか、それとも紙幣を刷るか、と言う話になる。南で採掘される銅が貨幣となり北に来るまで時間がかかるためかどうか寡聞にして良く解らないが、紙幣を刷ることになったようである。
 もちろんこの紙幣は兌換紙幣である。
 ちなみに、元朝は経済対策として紙幣を刷りまくった。結果インフレになって大ドジを踏んだのは世界史B履修者にはなつかしい話ではなかろうか。
 にしても、紙幣で賄賂と言うのはちょっと意外である。市場に流通した紙幣はその後基本的に兌換されず、いつの間にか額面だけが独り歩きし始めるのは良く有ることだが、もし兌換したらどうするのだろう。賄賂なのに足跡が残ると思うのだが。
 んで。
 最後に満洲族が大陸を征服出来た理由について。
 今回は龍玉によって天命を授かったことがその理由とされたが、無論、そんなわきゃないのである。
 じゃあどうして?と言うと、はっきり言ってまだ判っていない。
 漢族に対して圧倒的に少ない満洲族が、何故あれだけの長期政権を樹立出来たのか。明代の風俗や行政機構の多くを踏襲したからか。北方の騎馬民族に対する防衛予算を組む必要が無かったからか。八旗・緑営制が良い塩梅に機能したからか。とてもブログのドラマ感想如きで答えられる問題ではない。
 さて。
 本当なら、あと、乾隆帝を境に清朝が衰えて行くのは乾隆帝の貨幣政策が問題だったからだとか、西太后の本性は贅沢好きで気まぐれな女だとか、色々書きたいことはござったが、長くなったし、どこかで一度書いた気がするし、そろそろまこまこんりがわしを寝所へ誘うので、今回はこの辺で。
 ああ、すっきりした!
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