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2010-03-29

傑作の予感。

07_ラストサビ38


 ついに『龍馬伝』第一部、完。
 第一部、完。と言うとなんだか打ち切りみたいですな。
 なんだかんだで、近年の大河の中では傑作の予感がしているわしです。
 最初は福山竜馬と聞いて違和感を覚えていたのだが、慣れると、これはこれで竜馬の一面か、と思えるようになってしまった。
 竜馬のステレオタイプなイメージって2パターンあると思う。一つは『竜馬がゆく』や『お~い!竜馬』に見られる純朴で優しく、世の中に揉まれて成長する青春モノ主人公タイプ。もう一つは『機巧奇傳ヒヲウ戦記』や『JIN-仁-』に見られる豪放磊落な知識人タイプ。もう一つトリックスター的な存在として描いた『竜馬におまかせ!』や、どこぞの古本屋で見かけた暗殺剣を振るう竜馬もいたが、この辺は割愛で。
 前者は竜馬が主人公の場合に、後者は竜馬が脇役の場合に多い気がする。青春モノが多い幕末ネタで主人公が最初から人間として完成されていると面白くないから、さもありなん。
 さて。『龍馬伝』の竜馬はもちろん前者に分類される。しかし、それだけではないオリジナリティを見出す瞬間がある。少なくともわしにはある。
 それは竜馬の怖さである。
 竜馬が怖い人だった、と言う話が高知に伝わっているそうで、現地では一昔前まで泣く子に「そんなにぐずると竜馬さんが来るよ!」と言ったそうな。
 もう出典も覚えていないぐらい昔に仕入れた知識なので細部は間違っているかも知れないが、史実の竜馬像を見ると、確かに怖い人物ではなかったかと推測される。
 剣術がめっぽう強くて、学は無いのに顔が広くて、武市らとつるんだかと思いきや脱藩して、開国派になって、外国人と付き合って武器を売って儲ける。公的な肩書はほとんど無いのに、誰もが「あいつを下手に扱ってはいかん」と敬遠している。
 常識的に考えて、こんな人物が、いわゆる「いいひと」であるとは思えないのだが、如何か。ご町内の老若男女みんなから慕われて、のほほんと笑っているような人物ではないと思うが、如何か。
 しかも竜馬は買弁なのだ。外国人など見たことも無い当時の日本人にとって、竜馬はそりゃあおっかなかったろう。そして不気味だったろう。
 福山竜馬は、カメラの巧みさも相まって、たまに怖く見える時が有る。その怖さは、今にも殴りかかって来そうなジャイアン的な怖さではない。竜馬の腹の底が見えないがこちらの腹は全部読まれているのではないかと思わせるスマートな怖さだ。
 かつての竜馬モノでは、こうした竜馬の怖さが描かれることは少なかった。最近だと月マガに連載されている『幕末めだか組』の竜馬がややこれに近い。
 とは言え、無論怖いだけではだめなのだ。それでは、ことによると他の知識人キャラと被る。人懐っこく近寄ってくるが警戒しないといけない、当事者にとっては大変めんどくさい人物。それが竜馬だと思う。
 また、細かい点ではあるが、竜馬を下士としてローソサエティの人間としてではなく、ある程度の財産とそれに基づく社会的地位を基盤とした恵まれた人間として描く様もなかなか新鮮である。今回の脱藩とその後の坂本家についてもこの点が重要になってくる。こうした竜馬の恵まれた出自と対比するために岩崎弥太郎をひどく描くことが多いが、むしろこれは岩崎を努力家として擁護し、従来の竜馬に対する下士であることへの同情を相対化するものなので、三○にはどうか寛大な対応を望むものである。
 そんなわけで、『龍馬伝』はことによるとシビアな竜馬像を描くかも知れない作品であり、これまでの竜馬モノとは一線を画す傑作ではないか、と考える次第である。
 ああ、面白いぞ、『龍馬伝』。
「ぷっ、プロデューサー、東洋が、東洋があっ!」
 解るぞまこまこりん。この東洋は最高にかっこよかったな!!
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theme : ヲタク人日記
genre : アニメ・コミック

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No title

「わしを吉田東洋と知ってのことかァっ!!」
あのシーンは凄かったですね
魂も一緒に連れていかれそうでした

「龍馬伝」の龍馬が「怖い」というのはよくわかります

ファンが多いようで嬉しいです。

 近年の大河の中でかなり視聴率が良いようで、ファンが多いらしく、嬉しいです。
 何気に『龍馬伝』は敵役のおえらいさんが良い味を出していて、大変楽しいです。
 次回から竜馬もより怖くなるみたいで、これまた楽しみでございます。
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