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2010-09-20

これは脇役を愛でるドラマなのか。

03_ラストサビ23


 それでは恒例『龍馬伝』感想、いきます。
 今回の論点は五点。
 第一に、お竜の禁制破りについて。
 あんなに好意的に描くべきではないと思うが、どうか。
 別にわしは男根主義者じゃないし、女性蔑視なんて全くする気はない。しかし、女人禁制の場所に個人の我儘で立ち入り、しかもそれを伴侶がお茶目で済ませるのは如何なものか。
 郷に入れば郷に従え。異文化圏に入ったらそこの流儀に合わせるのが異文化交流のマナーである。
 今回の放送を見て、アレな感じの人達が外国の宗教施設を観光して、立ち入り禁止なのに『龍馬伝』ではお茶目で済んでたし、とズカズカ侵入したらどうするのか。
 流石にそんなことは先ず無いと思うが、いくら物語のヒロインとは言え、個人の感情で異郷の禁を破ることを好意的に描く必要は無かっただろう。
 とは言え、これはあくまでドラマなので、そこまできつくつっこまなくても良いのかもしれない。むしろ、竜馬夫妻が実際には物凄くネガティブな意味でフリーダムだったことを巧く表現出来ているのかも知れない。
 第二に、あのひっこ抜きと挿し直しを見て更に惚れるあたりは如何なものか、と思った。
 薄ら寒かった。
 第三に、西郷のリージョナリズムについて。
 個人的に、薩摩の描き方はこれが一番正確だと思う。同盟しようが藩が損するなら手を出さない。それが薩摩。キャスティングボードを失わぬよう軍事力を温存して勝ち馬を見定める。それが薩摩。「日本」ではなく「薩摩」名義で万博に出展する。それが薩摩。
 カッコいいじゃないか、この西郷と薩摩。最高に面白い。皮肉でもなんでもなく、この描き方は良いと思うのじゃよ。
 第四に、竜馬の心変わりについて。
 長州に加勢する理由を、志は変わっていないが戦争が始まってしまったので参戦する、としていた。
 いや、どう見ても心変わりだろう、それ。
 志が、内戦を経ずに幕藩体制を解体して中央集権化することであるならば、長州にワンサイドで味方するのではなく、学校の先生よろしくケンカ両成敗で双方を殴らないと。長州に味方することは、やっぱり内戦しないとどうにもならないから参戦して幕藩体制を壊します、と言う意味に他ならない。それって心変わりだろう。
 いっそのこと、自分は無力で内戦を止められなかった、ぐらいの自己批判が欲しかった。竜馬の行動を全て正解にしようと言うスタッフの心根が卑しい。英雄ではない竜馬を描くのだろう。英雄じゃないならミスしたって心変わりしたっていいじゃないか。
 あと、竜馬の参戦を正当化すべく、幕府がしかけて来たから戦争になったような描き方しているのもずるい。薩摩も長州も、幕府がどれだけ必死で外交主権を統一化して、各藩が外国と結びついて経済侵略の糸口を作らせないように努力してきたか知らないように見える。特に薩摩。万博に薩摩名義で出展するなんて、下手すると井伊直弼同様に天皇の外交主権の侵犯なのだが、解っていたのだろうか。
 結局イギリスに介入されて、付き合いが続いて日英同盟でドイツの牽制に利用されるんだから世話ないよな。
 閑話休題。
 とにかく、竜馬の参戦はとても「日本人」としてのものとは言えない。長州が勝てば良い、と言うエゴにしか見えない。勝った長州が「長州幕府」にならないとも限らないのに。実際、明治初期は「薩長幕府」でしかなく、東北を差別し、更に国民国家化に際して西南戦争と言う凄まじい歪みを生むことになる。それでも無理やりなんとかしてしまったところが本当に奇跡的なのだが。
 第五に、最後の「紀行」での薩摩に対する近代化の評価について。
 薩摩のことを、当時の藩の中でも格段に近代化が進んでいた、としていた。
 厳密に言うと間違い。軍事面の近代化が進んでいた、とすべき。おいおいどうした、近代化がテーマじゃないのか、今回の「大河」は。
 それはともかく、軍事面で近代化していた、と言うのも、より厳密に言えば間違い。本当に近代化した軍隊ならば指揮官は世襲身分ではなく軍学校の学位をメルクマールとした実力主義で任命されなければいけない。
 こうして考えて行くと、実は薩摩と幕府の近代化の程度ってあまり大差無く、むしろ伝習隊が完成してからは幕府の方が一日の長があることにお気付きだろうか。
 さて。
 以上のように、今回一番の見どころは薩摩のリージョナリズムであった。
 正直言って主人公である竜馬の描き方は、いよいよまとまらなくなっていて、ちょっと辛いものがある。
 ぼっとして本作は薩摩の不気味さを楽しむものではないか、と思う次第である。
「でもプロデューサー、島津は嫌いじゃないんですよね」
 秀吉に降伏したのは間違いなく英断だったと思うよ。
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