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2010-11-22

なんか「浮いてる」。

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 いよいよクライマックスの『龍馬伝』だが、相変わらず細かいところで残念なのが玉に瑕である。
 どうしても海援隊と武器貿易を繋げたくないようだが、海援隊が武装商団であり竜馬とイギリス資本の関係は間違いなくここに根が有るわけで、正直この描き方はいたたまれない。
 と言うか、どうしてここまで金儲けを蔑むのか。純粋に金儲けをしようとすることの何がいけないのか。その手法が非合法・非倫理的であれば非難すべきだが。政治資金として稼ぐ銭が利益追求の成果としての銭より尊いのであれば、政治家への献金は企業の利潤より尊いことになるが、どんなもんだろう。
 次に竜馬が幕府関係者ニ万人の解雇をどうでもいいとしたことについて。
 これは史料に記されていたことなのだろうか。寡聞にして知らないので、とりあえず竜馬の名誉のためにドラマのオリジナルだと思うことにする。
 改革によって生じるリストラを軽視するのがどれだけバカなことなのかは中学レベルの日本史を学んでいれば理解出来ることである。事実明治政府は解雇された士族階級の反乱に莫大な軍費を割くことになり、膨大な対外借款の一因となるんじゃよ。また、そのニ万人はみんな中央で実務を経験した官僚、言うなれば霞ヶ関の官僚であり、これを一辺に解雇した翌日からまともに行政が機能する筈が無いのである。ましてや官僚を解雇して後は勝手に民間就職しろだなんてのは人材の無駄遣いだし、何より行政として無責任と言うべきであろう。だからこそ史実では榎本のように大量の幕臣が再雇用されるわけだが。
 何にせよ、竜馬を先進派知識人として描くのであれば、あの台詞は脚本の致命的なミスと言えよう。
 そして竜馬の慶喜襲撃計画について。
 ドラマでは過去に近藤に対してテロリズムはダメだと言った。今回の最後の方でもテロはいい加減にしろ、と言った。
 でも大政奉還をせなんだら襲う、と言うのはどう見てもテロだよなあ。
 つまり、やはり竜馬とはそう言う凶暴なおっかない人間だった、と言うことだろう。優しい「いい人」ではなかったのだろう。
 トドメは大政奉還後についてで、竜馬は破壊したあとのことを深く詳しく考えていなかった。これはドラマの通りであろう。以前にも書いたが、彼の頭の中にはアウトラインしかなく、それを実現するために必要な予算や人材、そして具体的なプロセスは慮外だったと思う。なんとなく孫○や毛○東に通じるものがありますな。民族の「英雄」とはえてしてそう言うものなのだろうか。
 さて。
 以上からわしは、竜馬と『龍馬伝』に対して、地に足が着いていない印象を受ける。とりあえず旧体制を壊せばなんとかなるだろう、旧体制が言うこと聞かなければ襲えばいいだろう。深く考証しなくてもパッと見ポジティブな印象さえ与えれば視聴者は感動するだろう。
 本作にとって大政奉還は薩長同盟と並ぶ二大イベントであった筈で、ならば、大政奉還が近代的な「国民」を創出するものであることをもっとしっかり論じて欲しかった。この「国民」の創出こそが第二部から続いているテーマであり、勝はその重要性を竜馬に教えたキーパーソンとして描かれていた筈だ。
 大政奉還によって生じるメリットとデメリットをきちんと説明し、その上で「日本の夜明け」だと言って欲しかった。夜は明けても、まだまだ暗い時間は続くのだから。
 作中の竜馬が欲しかったのは「みんなが笑って暮らせる国」じゃなかったのか。旧幕臣は「みんな」に含まれないのか。それって均質な「国民」に旧幕臣は加えないと言うことか。藩閥政治による旧佐幕派諸藩に対する差別を隠喩しているのだろうか。
 こうした「浮きっぷり」が目立つ回であったが、これらを解消せんとすれば物凄く静的で長台詞の多いドラマになるのだろう。そしてそれは視聴率の低下に繋がるのだろう。
 なんて言うか、勿体無いなあ、と思った。
「でもプロデューサー、なんだかんだでここまできっちり見て来ましたね」
 あのね、どうこう言ってるけどここ数年の「大河」の中では間違いなく傑作だとは思うのだよ。
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